プリズナートレーニング外伝の内容

日本で今一番売れている筋トレ本「プリズナートレーニング」及びその続編「プリズナートレーニング2」を書いた元囚人のポール・ウェイドが、自分の体重だけを使ったトレーニング(キャリステニクス)で今度は筋肉を大きくする方法の解説本を出しました。

 

 

「監獄式ボディビルディング プリズナートレーニング外伝」というタイトルです。

 

トレーニングを運動神経系と筋肉系の二つに分け、筋肉を大きくしたいなら体操選手のように運動神経系トレーニングをするのではなく、ボディビルダーのように筋肉系トレーニングをしないといけない、というのが今回のテーマです。ただし、トレーニングは原則自分の体重だけを使う自重トレーニング(キャリステニクス)に限定しているところが、プリズナートレーニングのミソです。

 

プリズナートレーニング外伝

 

今回も前作、前々作に劣らず派手なカバーですが、自重でボディビルダーのような魅せる筋肉を目指す訳ですから、今回はテーマとカバーデザインが合っていると言えば合っています。

 

プリズナートレーニング外伝

 

これも前作、前々作同様、カバーを外すと茶色の非常に地味なデザインなので、持ち歩くことはできます。

 

プリズナートレーニング外伝

 

上の写真の一番左が前々作の「プリズナートレーニング」、真ん中が「プリズナートレーニング2」、そして一番右が今回の「プリズナートレーニング外伝」です。前作、前々作との大きな違いは本の厚さ。158ページと、ほぼ半分くらいしかありません。これは、ほとんどのページが自重トレーニングの考え方やノウハウを説明するのに使われており、前作、前々作に有った写真や図を使った一つ一つのトレーニングの具体的な解説がないからです。

運動神経系トレーニングと筋肉系トレーニング

ポール・ウェイドは、運動神経系トレーニングと筋肉系トレーニングとを次のように対比させています。

 

運動神経系トレーニング=筋細胞への情報伝達を効率化する

  • 低レップス数で多セット数
  • 高頻度
  • 長インターバル

 

筋肉系トレーニング=筋細胞を大きくする

  • 高レップス数で低セット数
  • 十分に休息
  • 筋肉を消耗させる

 

筋肉を大きくするにはボディビルダーがやる筋肉系トレーニングが必要ですが、筋肥大を継続するには運動神経系トレーニングも必要と主張しています。

 

運動神経系トレーニングについては、「筋力を究める道を行く:体重を増やさずに強くなるための十戒」として、例えば、筋肉が疲れる前に止めてレップス数を少なくしセット間で十分に休養する、トレーニング時間を長く取り同じ動作をできるだけ繰り返す、あるいはバランスを取るなど筋肉を協働させるコツを学んでできる限り筋肉を相乗的に使うなど、10個のノウハウを解説しています。

 

一方、筋肉系トレーニングについては、「監獄ボディビルダになるための十戒」として、例えば、筋細胞内にある化学エネルギーをゼロに近づけるようレップス数をどこまでも増やす、限界を突き破るくらいハードに努力と痛みが待つ未知の領域に突入する、あるいは低スキルでできる複数の筋肉群を対象とするシンプルな複合エクササイズを選ぶなど、こちらも10個のノウハウを並べています。

プリズナートレーニング外伝の評価や評判

プリズナートレーニング外伝は、前々作のプリズナートレーニングや前作のプリズナートレーニング2を補完する解説書として概ね好評のようですが、これまでもあったようにあまりに自重トレーニングにこだわりウェイトトレーニングを非難するあまり、論理に飛躍があったり自己矛盾を起こしている部分も散見されます。

 

プリズナートレーニング外伝には、読者からの質問に著者のポール・ウェイドが答えるFAQがいくつか記載されているのですが、その中に次のようなやり取りがあります。

 

なぜ、体重なのか?ウェイトやマシンではいけないのか?

それもいいだろう。ウェイトやマシンを使ったトレーニングにも、このマニュアルで説明してきた考え方や原理をあてはめることができる。(中略)しかし、既刊の2冊で説明した通り、体重を使ったトレーニングは外部荷重を吹き飛ばす。それはボディビルディングでも同じだ。体重を使った方が安全だし、効率的なトレーニングになるからだ。

 

著者は自重の方が安全で効率的と断定していますが、そこに論理の飛躍が見られます。例えばある筋肉に30kgの負荷がかかっていれば、それは自分の体重だろうがプレート等のウェイトだろうが30kgは30kgで同じです。それを複数の筋肉群で受けるようにしているとか、段階的に負荷を上げるように工夫するなどすれば安全で効率的なトレーニングになりますが、負荷が自重であるからといって安全性や効率が上がるわけではありません。

 

同じFAQの中に、次のようなやり取りもあります。

 

ボディビルディング雑誌を読むと、筋成長させるためには、頻繁にエクササイズを変えて筋肉を混乱させる必要があると書かれている。それは本当だろうか?

筋細胞にできるのは、発火(収縮)するか、しないかの二つだけ。胸筋に筋細胞が発火しているとき、当の筋繊維は、ディップスをやっているのか、プッシュアップをやっているのか、吊り輪をやっていのかわかっていない。わかるはずがない。

 

これはアマゾンの口コミでも指摘されていることですが、筋肉は負荷の元を区別できないと言っているわけですから、筋肉にとってはその負荷が自重かウェイトかも判断できないということになります。これでは、ウェイトトレーニングを非難し自重トレーニングを推奨していながら自己矛盾しています。

 

プリズナー・トレーニングの評価・評判」で指摘したように、著者のポール・ウェイドは器具を使ったトレーニングの危険性を指摘し自重トレーニングの長所を強調してはいますが、ウェイトトレーニングを完全否定しているわけではありません。

 

自重もウェイトも筋肉に負荷をかけることでは同じですから、それぞれの安全性や効率を理解して、いいとこどりをすれば良いのだと思います。

プリズナートレーニング外伝で一番重要なこと

著者のポール・ウェイドが、筋肉を構築する上で最も重要なポイントをプリズナートレーニング外伝の最後に書いています。

 

テストステロンを増やせ。しかし、ステロイドは使うな。

 

テストステロンはコレステロールから作られる男性ホルモンの一つで、睾丸から分泌され毛深さや筋肉増大など男性の二次性徴を発現させます。つまり筋肥大させるためには、筋肉をつくるホルモンであるテストステロンの血中濃度をあげる必要があります。そのために、ポール・ウェイドは6つのルールを上げています。

 

テストステロンを増やすための6ルール

  • ハードにトレーニングする。
  • 長く深い眠りをとる。
  • 太り過ぎない。
  • 卵、ソーセージ、チーズ、肉の脂肪などでコレステロールを摂る。
  • タバコ、酒、ドラッグをやらない(ストレートエッジ)。
  • ステロイドを使わない。

 

これはウェイトや自重にかかわらず、全ての筋トレに共通する指針です。

 

テストステロンと言えば・・・

ちなみに、テストステロンと言えば筋トレ界では知らない人はいないマッチョ社長の久保孝史さん。10万部以上販売された「筋トレが最強のソリューションである」の第2弾「超 筋トレが最強のソリューションである 筋肉が人生を変える超・科学的な理由」が、2018年4月27日に発行されています。

 

 

テストステロンさんが軽快に断言する格言にいちいち笑ってしまいますが、科学的な根拠に基づいた筋トレによる効果の説明も侮れません。実践してきたからこそ言い切ることができる筋トレの素晴らしさや楽しさを、是非この本で味わってみてください。

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