腱鞘炎(バネ指)になりました
ウェイトトレーニングをやっていれば、ほとんどの方が経験するであろう腱鞘炎。あなたは大丈夫ですか?
私は筋トレを始めて1年半ほど経ち、かなり高重量を扱えるようになった時点で薬指に症状が出ました。左手もちょっと痛いんですが、やはり利き手の右の薬指の方が辛いです。最初は、手のひら側の指の付け根に痛みが出ました。
上図の赤いところを押すと、痛い。少し熱っぽくなっていて、炎症を起こしているのが分かります。
しばらくすると、指を曲げたり伸ばしたりするとき手のひらに痛みが走るようになります。そのままほっておくと、今度は指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなり、途中でカクンっと引っかかるようになります。この引っかかりは朝起きた時が一番酷く、しばらく指を動かしていると症状が軽減します。
これまで筋トレをやってきて怪我らしい怪我はしたことがなかったのですが、指の怪我はかなり気を使います。というのも、ほとんどのウェイトトレーニングが指を使うからです。ダンベルもバーベルも、手で握るものだから当然ですね。プレス系のように押す動作はまだいいのですが、プル系の引く動作は握力を使うので痛みを伴います。
腱鞘炎(ばね指)とは?
指は骨に着いた腱を前腕の筋肉が引っ張ることによって曲げ伸ばししています。この屈筋腱の通り道になっているのが、硬い筒状の靭帯性腱鞘。靭帯性腱鞘の周りには滑膜性腱鞘があって、本来、靭帯性腱鞘の中を屈筋腱がスムーズに動けるようになっています。
しかし、指を使いすぎると屈曲腱と靭帯性腱鞘の摩擦によって炎症が進み、腱は太くなって腱鞘は狭くなるのでさらに擦れ合うようになり症状が悪化します。この腱や腱鞘が炎症を起こしたのが腱鞘炎で、主に手首、ひじ、指で発症します。
指の腱鞘炎が酷くなると腱が更に腫れて団子状になるので、腱鞘の中を移動するときに引っかかってバネを弾くような動きになるためばね指と言われます。さらに症状が進むと指が動かなくなることもあるそうです。
腱鞘炎になると、通常、指の付け根に痛みや腫れが生じ、特に朝、症状が悪化します。
腱鞘炎を発症し易いのは、次のような人。
- 更年期の女性
- 妊娠出産期の女性
- 手指を酷使している人
- 糖尿病、リウマチ、透析患者
- 抗がん剤治療を受けている人
- スマホを使いすぎている人
近年、特にスマホの使い過ぎによって親指が腱鞘炎になる若者が増えているそうです。ウェイトトレーニーは、手指を酷使している人に該当しますから、日常的にトレーニングしていればかなりの確率で腱鞘炎になってしまうでしょう。
腱鞘炎(ばね指)の治し方
腱鞘炎(ばね指)の治療法としては、次のような方法が挙げられています。
- 局所の安静
- アイシング
- 湿布
- 投薬
- テーピング
- ステロイド注射
- 腱鞘切開手術
初期であれば局所を安静にしていれば症状は改善しますが、指や手首を動かさずに日常生活を送るのは至難の業。筋トレで発症した腱鞘炎(ばね指)なら、筋トレを止めて安静にしていれば治るはずですが、それではトレーニーとして意味がありません。またトレーニングを再開すれば再発してしまいますから、安静にするだけでは根本的な解決策になりません。結局、動かしながら治療することになるので、どうしても症状が長引いてしまいます。
腱鞘炎(ばね指)で筋トレをするときの工夫
私は、筋トレしながら次のような方法で腱鞘炎(ばね指)に対処しています。
- ストレッチ
- マッサージ
- パワーグリップ
- トレーニングチューブ
- プッシュアップバー
ストレッチ
痛みのある指を次のような方法でストレッチします。
会議中でも電車の中でもできます。準備も要りませんし時間もかからないので、気づいたときにストレッチするようにしています。ゆっくりと、あまり力を入れずに行うのがコツですね。
マッサージ
まず、手のひら側のマッサージです。
1は、指の内側を手首に向かってゆっくり押していきます。2は、指の両サイドを挟むようにして、これも手首に向かって揉んでいきます。3は、痛みのある指の腱を押していきます。炎症がひどいときは強く押すと痛いので、優しぐほぐすようにマッサージします。
次に、手の甲側です。
4は、右手薬指の中手骨の左右を、左手の親指以外の4本の指でじわっと10秒ほど押します。マッサージというより筋膜リリースですね。これはかなり気持ちいい。5は、手の甲側の手首の真ん中にある陽池と言われるツボから指1本分肘側にある窪みを押します。ここは結構強く押しても痛くないので、大丈夫。
更に、腱鞘炎が酷いときはほぼ間違いなく前腕の筋肉が張っているので、指やヨガポールを使って丁寧に揉み解します。私の感覚では、痛みのある指を直接マッサージするより、前腕を揉み解した方が腱鞘炎に効くような気がします。
パワーグリップ
やはりできるだけ指に負担をかけないよう、トレーニング中は握力を補助する器具を使うことです。一番のオススメは、パワーグリップ。
これまでは、前腕を鍛えるためになるべく使わないようにしていたのですが、最近は指を守るために握力を使う運動にはほぼ使うようにしています。リストストラップでもいいのですが、パワーグリップの方が手軽でいいですね。
例えば、チンニングスタンドにぶら下がる場合、パワーグリップを使えば指にほとんど負担をかけずに懸垂などを行うことができます。
ただし、ブロックダンベルを使う場合はグリップが太くて真ん中が膨らんでいるため、ベロがもっと長く柔らかいゴムでできているマイプロテイン製のリフティンググリップがオススメです。
リフティンググリップならブロックダンベルの太いグリップでも十分に巻き付けることができ、握力をほとんど使わずに持ち上げることが可能です。
トレーニングチューブ
最初に使っていたトレーニングチューブは、モビリティバンドです。
通称モビバンと呼ばれています。一本のチューブに輪が3つ付いていて、いろいろな使い方ができるのが特徴。ダンベルやバーベルのようなウェイトは指で握らなければいけませんが、チューブは指や手首に掛ければ握力が要りません。そのため、ばね指でも痛みなく使うことができます。
ただし、高重量のウェイトのように筋肉に高い負荷をかけることはできませんから、本番の追い込みではなく、ウォーミングアップや追い込み後のパンプアップに使います。それだけでも、トレーニング中の指への負荷をかなり低減することができます。
腱鞘炎になってチューブでトレーニングする機会が増えたため、負荷を変えることができるトレーニングチュープセットを購入しました。
インクラインベンチにハーネスとナスカンを取り付けてトレーニングチューブも使えるようになったので、チューブを使ってできるトレーニングの幅がかなり広くなりました。
プッシュアップバー
指になるべく負担をかけないようにするため、できるだけウェイトを使わないトレーニングを取り入れるようにしているのですが、一番役立っている器具がプッシュアップバーです。バーを握って腕立て伏せをするわけですが、ほとんど握力を使いませんので指には負担がかかりません。
腕立て伏せによる大胸筋への負荷が高められるとともに、手首への負担も軽減することができます。腰を曲げて腕立て伏せをすれば肩のトレーニングにもなりますし、腕幅を狭めて腕立て伏せをやれば上腕三頭筋にも効かせることができます。
さらに、こちらの回転型プッシュアップバーを使うと、筋肉にいろいろな刺激を与えることができます。バーが水平回転するだけなんですが、固定式のプッシュアップバーとはかなり効果が異なり、上腕二頭筋や広背筋などにも強い刺激を入れられます。
回転型プッシュアップバーなら上半身の筋肉を満遍なく鍛えることができ、さらに椅子の上に足を置いて負荷を上げることもできるので、腱鞘炎中でも指に負担のかかるウェイトを使うことなく、しっかりとトレーニングすることができます。