腹筋ローラーの危険性
手軽に、しかも短期間で腹筋を鍛えられるグッズとして、根強い人気を誇るのが腹筋ローラー。
両手でグリップを握ってローラーを前後するだけなので、楽チンなトレーニングに見えるのですが、実際にやってみると腹筋だけでなく腕や背中に加え太ももの筋肉も鍛えらえることが分かります。それどころか、負荷が強すぎて逆に体を痛めてしまうことも。
特に負担が掛かり過ぎて痛めやすい場所が3つあります。
- 手首
- 肘
- 腰
手首
ローラーを一番前に押し出したとき、つまり上半身が伸び切った状態で手首が反り返っていると、手首の関節に大きな負荷がかかってしまいます。
この状態を防ぐためには、手首を少し巻き込むように意識して、手首が反り返らないようにする必要があります。
肘
両手を伸ばした状態でローラーを前に押し出すと、肘にかなりの負担がかかります。これを防ぐには肘を少し曲げた状態で固定し、ローラーを前後させます。
腰
腰に一番負担がかかるのは、上半身が伸びた状態から体を戻すためにローラーを切り返すところです。筋力が十分についていないときは、まだローラーの切り返しがうまくできないので、どうしても反動をつけて切り返そうとしてしまいます。そうすると、ローラーを一番前に押し出したとき背中が反った状態になって腰を痛めます。
これを防ぐためには、背中を少し丸めて腰を伸び切らないようにすることです。まずローラーを押し出しているときに、自分のお腹を見るようにします。そして、膝コロ(膝を床に付いた状態でローラーを前後させる)でゆっくりとローラーを切り返せるようになるまで、立ちコロ(足の裏だけを床に付いた状態でローラーを前後させる)をしないことですね。
立ちコロは膝コロとは比べ物にならないくらい、負荷がかかります。筋力が不十分な状態でいきなり立ちコロをやると、怪我をしてしまう危険性もあります。ローラーを前に押し出したときに体を支えることができず、床に膝や顎を打ちつけてしまったり、ローラーを足元に戻したときにバランスを崩して、頭から床に突っ込んでしまうこともあります。
腹筋ローラーは腹筋だけに効くわけではなく、上腕三頭筋、脊柱起立筋、大腿四頭筋など他の筋肉にも負荷がかかります。つまり腹筋だけが強くても腹筋ローラーは使いこなせません。全身の筋力がある程度付く前に急に腹筋ローラーを使うと、腹筋が鍛えられる前に腰や手首などを痛めてしまうので十分注意しましょう。
手首と肘の怪我を防止するグリップ形状
腹筋ローラーの手首と肘の怪我を防止するために、最も重要なのはローラーを握るグリップの形状です。普通の腹筋ローラーにみられる棒状のグリップでは、手首が反り返らないことと肘を軽く曲げることを常に自分で意識して行う必要があります。
しかし、進化型の腹筋ローラーに見られる突起付きの八の字型グリップなら、自然と手首が真っすぐになり肘が少し曲がった状態になります。
まずグリップが八の字をしていると手の平が常に下を向くことになるので、ローラーを前に押し出したとき手首が反り返らなくなります。
手首を反らせるにはグリップを手前に回転させる必要があるので、体重が乗った実際の運動中であれば不自然な動きになるからです。
次に親指柱と呼ばれる突起を持つグリップの形状です。
このグリップを普通に握ると、肘が開く方向に手首が傾きます。
そのため、自然と肘が少し曲がった状態になります。この肘を少し曲げた形で腕を固定してローラーを前後させると、肘に過度の負担がかからなくなります。
腰痛を防止するアシスト機能
腹筋ローラーによる腰痛を防止するために、是非お勧めしたいのがアシスト付きの腹筋ローラー。運動中に最も負荷がかかるローラーの切り替えしを安全に行うために、補助してくれる機能が付いています。
補助の方法は大きく分けて、次の3つです。
- ストッパー式
- チューブ式
- 内蔵スプリング式
ストッパー式
体が伸び切ってしまうちょっと手前でストッパーを使うことで、腰が反り返ってしまうことや体を支えきれなくなって落ちてしまうことを防げます。ただしローラーを止めるだけなら、壁に向かってローラーを押し出していくいわゆる「壁コロ」と同じことなので、わざわざこのタイプの腹筋ローラーを買う必要性はあまり感じません。
チューブ式
足や膝を乗せるパッドとローラーとを、伸縮性のあるチューブで繋いだタイプです。
ただし、ローラーを決まった位置から先に動かないようキチッと止めてくれるわけではないので、体が伸び切って腰が反り返ってしまう状態を完全に防ぐことはできません。また、体が伸び切る手前でローラーを止めるために、チューブの長さをいちいち調整する必要があります。
チューブ式はストッパー式とは異なり、ローラーの行き過ぎを止めてくれるだけでなく、伸びた体を戻すときにチューブが筋力を補ってくれます。また、腹筋以外にいろいろなチューブトレーニングができる、というメリットはあります。
内蔵スプリング式
腹筋ローラーの車輪の中にスプリングが内蔵されているタイプです。最もオススメのアシスト付き腹筋ローラーです。
ローラーを前に押し出すにつれてスプリングが締まり、決まった回数車輪が回転すると止まります。つまり車輪の回転数が決まっているため、ローラーを押し出すスタート地点を調整することで体が伸び切る手前でローラーをキチッと止めることができます。また締まったスプリングの力が、体を戻すときの筋力を補助してくれます。
アシスト付き腹筋ローラーの比較
実際にネットで販売されているアシスト機能付きの腹筋ローラーを比較してみました。
VIDAS
幅広の車輪に内蔵されたスプリングによって、車輪は一定の回数しか回転しないようになっています。また伸び切った体を戻す際に、その内蔵スプリングがアシストしてくれるため腰を痛めずにトレーニングできます。
グリップを含む本体の幅は39cmで、直径19cm×幅16ccmと幅広の車輪が付いています。グリップは八の字をしているので手の平が常に下向きになり、手首が反り返って手首の関節に負荷が集中しないようにできています。また左右のグリップには、握りやすいように突起(親指柱)が付いています。
色はブルー、レッド、ブラック×パープル、ブラック×ホワイト、ブラック×グリーン、ブラック×イエロー、ブラック×レッドの7種類があります。膝マットが付属しています。
良い口コミ
- 臭いがしない。
- グリップの形状が握り易く安定しているため、手首を痛める心配がない。
- コスパ、効率が良い。
- 腹筋器具に比べてコンパクト。
- 高級感がある。
- 大きいが重くはない。
- 車輪がゴム製で音がしない。
- 車輪が幅広なので、やり易く安全。
- 発送が早い。
- 場所を取らない。
悪い口コミ
- 僅かに独特の臭いがする。
- 小傷だらけ。
- 箱がボロボロ。
- 内蔵スプリングが急にパチンと大きな音を出して戻る時がある。
- グリップが固く、手に跡が残る。
- 汚れている。
オススメのアシスト付き腹筋ローラー
様々なアシスト付き腹筋ローラーから私が選んだのは、VAVACO製のこちら。
- 内蔵スプリング式
- 突起付き八の字グリップ
- 耐荷重400kg
- 色(黒/紫)
以上の4つの理由から、このアシスト付き腹筋ローラーを選びました。
内蔵スプリング式
これは絶対条件です。ストッパー式なら壁を使えば十分ですし、チューブ式はいろいろなチューブトレーニングができるというメリットはありますが長さ(強度)調整が面倒です。
突起付き八の字グリップ
これも手首と肘への負担を減らすために必須の条件です。直線状のグリップと比べてみると、その効果が実感できます。
耐荷重400kg
このタイプのアシスト付き腹筋ローラーなら、どれも同じくらいの耐荷重を持っていると思いますが、VAVACOのように販売ページに明記されているとやはり安心感があります。しかも耐荷重が400kgもあれば十分。
耐荷重が80kgという腹筋ローラーもありますが、自分の体重以上とはいえ耐久性を考えると若干不安です。
色(黒/紫)
これは完全に好みです。実物は販売ページほど綺麗ではなかったので、ちょっと残念でした。
VAVACOのアシスト付き腹筋ローラー
AMAZONからは、相変わらずデカい段ボール箱で配送されてきます。
段ボール箱の中に製品箱がストレッチフィルムで固定されています。
段ボール箱そのものは、若干傷はありますが貫通している穴が開いているわけではありません。
中に入っている製品箱にも、ほとんど傷らしい傷は見当たりませんでした。箱の表記は全部、英語です。
中身を全部出してみました。
- 本体
- グリップ
- 膝マット
- 説明書
説明書は1枚の紙だけ。全部英語ですし、写真も白黒で不鮮明です。
とはいえ、組み立ては2つのグリップを車輪にはめ込むだけ。グリップには左右があるので注意してください。グリップにそれぞれ「L」と「R」が書かれていて、車輪のサイドにも「L」と{R」が書かれているので、それを合わせてはめ込みます。
はめ込むのに工具は全く不要。グリップにある突起を押し込んで車輪に差し込むだけです。
グリップが奥まで入ると、突起が穴に嵌って抜けなくなります。
膝マットには、四角いマット1枚のものと小さいマットが2つ繋がったものとがあるようです。膝を付いて行ういわゆる膝コロをやる場合には、膝の下に敷くマットは必須です。これがないと、膝が痛くてトレーニングになりません。もちろん、立ちコロしかやらない人には不要です。
アシスト付き腹筋ローラーの効果
まず膝コロをやってみましたが、ある程度トレーニングしている人にとっては負荷が低すぎるでしょう。戻る力を補助してくれるので、いくらでもできてしまいます。
ただし、膝コロだとローラーを動かす距離が短いため、内臓スプリングが締まり切ってローラーを止めてくれるところまではいきません。なので、まだトレーニングを始めたばかりで膝コロでもキツいという場合には、ローラーが止まらず上半身が伸び切ってしまうこともあるので注意が必要です。
次に立ちコロをやってみました。私は今、アシスト機能のない通常の腹筋ローラーで何とか数回できるレベルなんですが、このアシスト付き腹筋ローラーでは10回できました。しかも、体が伸び切る直前までローラーを押し出し、そこからゆっくりと切り返して足元まで戻すフルレンジの動きを10回です。もちろんアシスト機能のおかげなんですが、それでも嬉しい♪
切り返しに反動を使う必要がないので、腰への負担はかなり軽減されます。さらに手首が自然と真っすぐになり肘も曲がった状態なので、関節への負担も減ります。
結局、余力を持ったまま初日で10回×3セットやることができ、こんなに楽でいいのかと思っていたのですが、翌日しっかりと腹筋が筋肉痛になりました。その後もトレーニングを継続していますが、ちゃんと腹筋に効かせることができています。
アシスト付き腹筋ローラーを実際に使ってみて感じた効果と気になった点をまとめておきます。
効果
- 切り返し時に反動を使わなくなり、腰への負担が激減する。
- 手首が自然に真っすぐになり、痛みを感じない。
- 肘を曲げやすくなり、負担を軽減できる。
- 腰、手首、肘などへの負担が減るため、腹筋をより意識してトレーニングできる。
- グリップが太く握り易く滑らないので、手袋をしなくても大丈夫。
気になった点
- 勢いよくローラーを押し出すと、車輪の回転は止まるがそのまま前に滑ってしまう。(ゆっくりやれば問題ない。)
- 体が伸び切る直前でローラーを止めるには、毎回足元の決まった場所からローラーを転がし始める必要がある。(その方がフルレンジで運動できる。)
- ローラーを転がしているときに、内臓スプリングからカチカチ音がする。(騒音に感じるほどの大きな音ではない。)
アシスト付き腹筋ローラーは、筋力の弱い初心者や中高年だけでなく、バリバリのトレーニーにも怪我防止のために強くオススメできます。