懸垂器具(チンニングスタンド)の種類

自重トレーニングとは、文字通り自分の体重を使って行う運動ですが、まったく道具が要らないというわけではありません。腕立て伏せを行うにはプッシュアップバーがあった方が効果は高まりますし、上半身を総合的に鍛えるには腹筋ローラーが役に立ちます。特にチンニング(Chinning)、つまり懸垂は道具がなければできない運動の一つです。普通の家にはぶら下がるところなんて、見当たりませんからね。

 

懸垂用の器具は、チンニングスタンドや懸垂マシン/懸垂バーなどと呼ばれていますが、大きく分けて次の4つの種類があります。

  • パワーラック(ボックスタイプ)のアタッチメント
  • ドアジム
  • ぶら下がり健康器タイプ
  • 壁固定タイプ

 

パワーラックのアタッチメント

パワーラックとは、バーベルを任意の高さに置いてプレートの付け替えができる、金属製の丈夫な台のことです。完全な箱型になったボックスタイプと、枠を簡略化して高さを低くしたハーフタイプとがあります。ボックスタイプのパワーラックには、良くアタッチメントとしてチンニングバーやディップスバーが付いています。例えば、私も購入したIROTEC(アイロテック)のマスキュラーセットR140には、初めからチンニング用のバーが枠に固定されています。

 

IROTEC(アイロテック)のマスキュラーセットR140のチンニングバー

 

もしこのようなパワーラックを持っていれば、追加でチンニングスタンドを購入する必要はありません。

 

ドアジム

ドアジムとは、ドア枠に取り付ける懸垂器具ですが、枠に突っ張って固定する突っ張り棒タイプとドア枠にひっかけるタイプとがあります。チンニングスタンドを置くスペースがない場合、安価で簡易的にぶら下がる場所を確保することができます。しかし、荷重に耐えられるドア枠の強度が必要ですし、外れて墜落する危険性に常に晒されることになります。

 

突っ張り棒タイプ

 

良いところ
  • 十分な強度のあるドア枠に固定できれば十分に使える。
  • 使わないときは外して片づけられる。
悪いところ
  • ドア枠の幅しか使えないのでワイドチンニングはできない。
  • バーが縮む方向に握ると、簡単に外れてしまう。
  • 石膏ボード等、強度が低い壁には使えない。
  • 固定具を取り付けたり、締め付け強度を増すとドア枠を傷つけてしまう。

 

ドア枠にひっかけるタイプ

 

良いところ
  • ドア枠を傷つけない。
  • 使わないときは外して片づけられる。
悪いところ
  • ドア枠の幅を超えてワイドチンニングできる形状の製品もある。
  • ドア上部に壁面と段差がある枠がないと使えない。

 

ぶら下がり健康器タイプ

ぶら下がり健康器の形をした、最も一般的なチンニングスタンドです。

 

 

強度と安定性を併せ持ったチンニングスタンドであれば、安心してトレーニングできますが、出しっぱなしで使うのが基本なので、かなりのスペースを占有することを覚悟しないといけません。足の部分のスペースだけでなく、床から天井まで十分な高さがないと設置できない場合もあります。

 

壁固定タイプ

ジムで良く目にする、チンニング用のバーを壁に固定するタイプです。

 

 

しっかりと壁に固定することができれば相当な耐荷重を持たせることができますが、まずそのような壁があるかどうか、どこに固定したらいいのか、どのように固定したらいいのか、素人では簡単に設置できないでしょう。さらに、ボルトで固定してしまいますから壁を傷つけてしまいますし高さも変えられません。一般家庭向きではありませんね。

ドアジム(突っ張り棒タイプ)の比較

ドアジム(突っ張り棒タイプ)

 

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R-STYLE

 

バーの長さは62cm〜100cm、径は30mm。総重量は1.4kgで耐荷重は200kgです。グリップのほぼ全面にカバーが巻かれています。バー両端のゴムがシリコン製なので、壁に色写りしないのがいいですね。

 

良い口コミ
  • 固定具を付ければ、ある程度緩む方に動いても外れない。
  • 固定具を付けなくても、緩む方に握らなければ外れない。
  • ぶら下がり健康器タイプに比べて、場所を取らず安上がり。
  • セッティングが簡単。
  • 両端に付いているのが透明なシリコンゴムなので、黒いゴムのように壁やドア枠に色写りしない。
  • グリップが握りやすい。
  • 固定具が二種類付いてい来る。
悪い口コミ
  • 設置方法の説明書がない。
  • 片方のバーが固着していて伸縮できなかったため返品。
  • ワイドに握るとグリップがないので素手だと滑る。
  • 購入後二日使用で壊れた。

ドアジム(ドア枠にひっかけるタイプ)の比較

ドアジム(ドア枠にひっかけるタイプ)

 

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バランスボディ研究所 どこでもマッチョ

 

引っ掛け部の幅は45cm、奥行は2cmです。総重量は1.85kg。グリップの長さは93.5cmで、ワイドグリップはできませんがパラレルグリップはできます。耐荷重は136kg。壁厚が5cm以上、ドア枠の厚みが0.5cm以上、枠内幅が61cm〜85cmのドアに取り付け可能です。異なるドア厚みに対応するため、グリップ設置位置が前後に3段階調節できるようになっています。日本で流通しているほとんどのドアに取り付けられるよう、日本向けに設計されています。

 

良い口コミ
  • 5〜10分もあれば組み立てられる。
  • ドア枠を傷つけることもない。
悪い口コミ
  • ワイドグリップができない。
  • 組立説明書が間違っている。
  • 作りがおおざっぱで、ネジを締めつけてもグラグラする。
  • 金属部分が傷だらけ。
  • 窓枠に設置する黒い部分が剥がれて転落。
  • 臭い。

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

私は既にチンニングバーが付いているパワーラック(IROTEC(アイロテック)のマスキュラーセットR140)を持っていますので、別に部屋で使う片づけ可能なチンニングスタンドを購入しました。

 

アイアンバー マスタープロ

 

サイズ 幅:78cm、奥行:121cm、高さ:113cmと190cm
本体重量 19kg
耐荷重 110kg
パイプ スチール、外径:38.5mm、肉厚:3mm

 

まずはプリズナー・トレーニングにあるホリゾンタル・プル、つまり斜め懸垂をやろうとしてこのチンニングスタンドを購入しました。プリズナー・トレーニングでは斜め懸垂をテーブルに指をかけてやることになっているのですが、これは危ない。手が滑ったら床に後頭部と背中を強打します。アイアンバーを113cmの高さに組めば、しっかりとバーを握って斜め懸垂ができます。さらに握力を補助するパワーグリップを使えば、より安全に斜め懸垂を行うことができます。

 

注文してから1か月ほど待たされましたが、40cm×24cm×117cmの結構大きい段ボールで届きます。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

両サイドに発泡スチロールがあって、パイプがしっかりと固定されています。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

中身を全部出すと、パイプが9本、ロック用のピンが10本、パイプを入れるバッグ、組立説明書が入っていました。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

これが組立説明書なんですが、英文5行で終わりです。ですが、写真を見ながら組み立てれば迷うことは全くありません。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

ピンには半円のロックが付いていて、一度刺したピンは抜けないようになっています。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

パイプを繋いでピンを差し込みストッパーでロックするだけ。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

数分もあれば、組み立てることができます。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

パイプを足して高さ190cmにしても、安定感もあり十分に使えます。反動を付けて懸垂するとさすがにグラつきますが、壊れる心配はありません。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

問題は、パイプの内側にバリが残っていて、そのままで繋げることができないパイプがあったことです。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

仕方がないので、私は金属ヤスリを使ってギコギコとバリを削りました。

 

金属ヤスリ

 

分解したパイプは、すべて付属のバッグに入れることができます。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

チャックを締めれば、総重量は19kgですから担いで運ぶこともできます。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

でも、このバッグがチャチいっ!持ち手を引っ張って持ち上げようと思ったら、さっそく持ち手の根元が破れてしまいました。まあ、パイプを入れて部屋の隅に片づけておくだけですから、何の問題もありませんが。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

早速、懸垂をやってみました。が、3回で撃沈・・・
斜め懸垂から、出直します。

アイアンバーを実際に使ってみて分かったこと

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002は、既に背中のトレーニングには欠かせない器具になりつつあります。しばらく使ってみて分かったことが、こちら。

  • パワーグリップとの相性が抜群
  • バッグからの出し入れがうるさい
  • 塗装がはげ落ちてくる
  • ピンが刺さらないときがある

 

パワーグリップとの相性が抜群

アイアンバーのパイプは直径が3.5cmあってかなり太いのですが、パワーグリップを使うとベロがパイプに密着して非常に握りやすくなります。握力が先に弱ってしまうことがないので、懸垂を背中に直接効かせることができます。

 

アイアンバーとパワーグリップ

 

バッグからの出し入れがうるさい

私はアイアンバーを使う度に組み立てているのですが、その際バッグからの出し入れでパイプ同士がぶつかるためカンカンと音がしてしまいます。かなり注意してパイプを出し入れしても音はしてしまうため、特に夜は気を使いますね。

 

アイアンバー マスタープロ HG-AB0002

 

塗装がはげ落ちてくる

アイアンバーはパイプを繋げて組み立てるのですが、その際接合部の塗装がどうしても剥げ落ちてきます。パイプは赤と黒の塗装がされているのですが、トレーニング後は床に赤と黒の粉が散らばることになります。

 

アイアンバー

 

構造上に問題が出るわけではありませんが、毎回掃除をしなければならないので面倒ですね。

 

アイアンバー

 

半年ほど使い続けると、ここまで塗装が剥げてきます。

 

チンニングスタンド

 

ピンが刺さらないときがある

特にアイアンバーの土台となる部分を組み立てるとき、パーツの穴の位置が合わずピンがなかなか刺さらないときがあります。

 

アイアンバー

 

正直それほど精度よく加工されているわけではないので、バーの組み合わせによっては穴の位置がずれてしまうからです。なので、いったんうまく穴の位置が合ってピンを刺しこむことができたら、その組み合わせ方を記録しておくことをお勧めします。具体的には、パイプをはめる位置に番号をふってしまうといいですね。

 

アイアンバー

 

こうしておくと次回ピンをスムーズに差し込むことができ、ストレスなく組み立てられます。

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